納得できないアレ

それほどすっきり目覚めたわけではないにせよ、まずまずの睡眠をとってスタートした一日の昼下がり、落ち着いているとなぜに強烈に眠気が襲ってくるのか。特に疲れているとも感じないのに、とても起きてはいられなくなる。大学の講義にしろ、会社のデスクワークにしろ、休日を過ごすにしろ。例えば、所要のない休日に読みかけていた本を手に取ってみるものの、やがてうつらうつらと意識が分断され始め、筋を追いかけることすらままならない。そのまま眠りに落ちて目覚めたとて気だるさばかりあって時間はなくなっている。体が疲れていて睡眠を欲しているならよしと横になったところで眠れはしない。それは多分、睡眠がもう足りているから。何かの目的を邪魔するようにあらわれるこの眠気、理不尽極まりない。どうにかならないかと思っていた。


いつものようにこの眠気にとらわれていて、先日ふと気づいたことがあった。肺に空気がたまった状態でわりと浅い呼吸になっている。そして、身体に対する刺激がほぼ皆無な状態になっている。意識だけが動いているという状態。さて、うまくその場で簡単に刺激があたえられないだろうかと考えてみた。


確実に目が覚めるだろうということで、たまった空気をきっちり全部吐き出して、ピタッと息を止めてみた。体がお休みモードになっているせいか、10秒あたりから早くも耐えられない苦しさになる。苦しさがどんどん積み重なっていくが、まだまだ、まだまだと、止め続ける。すると、苦しさがある閾値を超えたあたり(大体15秒あたりか)から、みるみると覚醒していった。30秒程経って息を吸い込んだとき、頭は嘘みたいにすっきりしていた。(まあ、そうなることは火を見るより明らかなのだが…)


伸びをする、髪の毛数本つまんで引っ張る、歩き回る、強力なハッカを含むなどいろいろ眠気を吹き飛ばす方法は試したが、ここまで周りから見て様子に変化が無く、効果的で、作業の邪魔にならないものは知らなかった。ようは、命に関わるということを身体に分かりやすく刺激として与えられたのだと思う。いい眠気覚ましが手に入った。


それがあって、そうか、脳に緩慢に酸素を送り続けるといういわば「ぬるい呼吸」をしていたら眠くなるのかもしれないと思い当たった。そこで、呼吸をうまく調節して、足りないと苦しくなるか否かの境界線を維持してみたらどうかと試してみた。基本的に肺から空気を追い出しておいて苦しくなる手前で少し吸うという、吐くことがメインの呼吸。そうしたところ、例えば暇つぶしに本を読んでいる時に、10ページもいかずに眠気に襲われるということがなくなった。というわけで、ついでに眠気の予防法も手に入ってしまった。


自分としては、この理不尽な眠気のために作業効率が悪化したり、一日を台無しにされたような無力感を感じなくて済むようになっただけでもすごい発見をしたように喜んでいる。あとは、好きな時にすぐ眠りにつけるようになればパーフェクトなのだが…