数学的にありえない

…うん?何か今日調子悪いな。

すれ違う人が奇異な目でこちらを見る。手馴れた作業がおぼつかない。人との会話がぎくしゃくする。人から届くメールがどこか冷たい。飼い犬がいうことをきかない。今日突然、いつもの調子が何もかも狂っている、ということがあった。

原因は自分だろうか?つまり、疲れていて、環境からの刺激に普段どおり反応できなくなっている。冷静に考えたら、そんな一つ一つは日常普通に起こりえる誤差で、些細なこと。

そう自分を納得させようとしても、うまく飲み込めず、首をかしげながらその日をやり過ごした。いつかの映画みたいに、ほんの少しだけズレた現実に来てしまったような気持ちで。


そういえば、とこの本のことを思い出した。


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ラプラスの魔

ラプラスの魔の「イメージ」としては、スピリチュアル・カウンセラーの江原さんが近いと個人的に思った。ラプラスの魔なんて、所詮は理屈*1の話、というのがごく普通の感覚。でも、この小説はその辺りの感覚を揺さぶってくれた。

オリバー・サックスの本に出てくるより大きな素数を言いあう双子とか、NHKの番組に出ていた数字が形で見える人とか、まだ粗い?科学の網の目ではすくい取れない領域に属する人達や、普通の人だって虫の知らせやデジャブなど、実際に奇妙なことがある。

ただ、通常そういうのにはごく冷めた説明が与えられがち。まるで、安定したこの現実感覚(正気ともいう)からは逸脱すまいとするように。

一方、この小説はそれらに対してかなり大胆な説明を加えている。主人公ほど際立った経験はないにしろ、日常で起こる微妙な違和感が誰しもあって、ああ、これはそういうことなのかもしれないなと思ってみると、ちょっと面白い。

僕はこの小説は楽しめた。ダン・ブラウンダ・ヴィンチ コードにいくつかの点で展開が似ていた。

いずれされるだろう映像化にはとても興味がある。マトリックスのような時間が捻じ曲がるシーンは間違いなく出てくるはず。とてもグロいシーンが何度もでてくるけど、これをどう処理するか。ちなみに、僕の頭のなかではものすごく大変なことになっていた。

*1:理屈でこんなものがあるなんていうのも驚いた