孝行は子の喜び

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いろいろと物議を醸している亀田興毅選手の判定勝ち。僕も、「えっ?」という驚きを覚えた一人だった。勝手な想像だが、この勝ちを喜んでいる人もそういう驚きは多少なり覚えたのではないだろうか。何より亀田選手自身がこの判定を聞いた瞬間驚いたように見えた。


あの不敵な亀田選手が彼の体裁をかなぐり捨てて辛勝に大泣きしたのは、一つには負けを覚悟させられたことがあるのではないかと思う。経験に勝る対戦者に捌かれ凌がれ、とことん追い詰められては、それまでの勢いや自信を打ち砕かれたとしても当然だろう。


いずれにしろ、テレビをつけたらボクシングをやっていて、いち格闘技ショーとして楽しんでいた自分だから、判定の是非については正直あまり関心が無い。


それよりも、世界に親父のすごさを思い知らせてやった!というような部分。父親を尊敬する男の子なら一度は思い描いて、無謀だから誰しも置き去りにしていく子どもじみた夢といえる。試合を見ても分かるとおり、現実は甘くなかった。ただ、幻と消えかかったそれを掴んだと知ったとき、外聞もなく泣きじゃくって喜んだが、そこまで本気でそれが欲しかったのだと察せられた。


何というか、親父さんの涙と、亀田選手の本望を遂げたような姿を見ていると言いようのない羨ましさを覚えた。これはマスコミの作った安いドラマだという非難もあるようだが、そもそも僕はメディアに頻出していた亀田三兄弟にはあまりいい印象を持っていない。そんな色んなものを飛び越えて、彼の執念は確かに伝わってきた。*1

*1:ニュースで亀田選手の記者会見をやっていたが、レフェリーも色々やからとか、ボクシングは何があるか分からんからとか、もうこれ明らかに“亀田”のキャラと違う気が…