ババ様は隠れておれっ

とてもよく出来ているのだけど、実現ノウハウが勉強可能で頑張れば誰でも作れるような製作物に、ちなみに○○時間で作った、という添え書きがついてることがある。もちろん、せいぜいトースト焼き上がるくらいの、普通の人には到底真似できないような短時間ですが何か、みたいなやつのこと。作り上げるのは誰でも出来るのだから、完成までの早さで一発かましたれということだろうけど、これ、見るたびに聞きたかなかったなぁという気分になる。それはもう、製作物の趣旨が「デきる私」なのだから、ちゃんとそういうタイトルをつけないと行儀悪いです。
経験も技術も知識もないままいきなり○○時間でそれが出来ちゃったならそれは個人的にとても興味深い話だけど、そうでないのなら単に量産体制が整備されております、タイムアタック得意ですくらいなもので、そのような情報はただの鑑賞者にとってはババ抜きのジョーカーのように如何ともしがたいのです。
なんてなことを考えていたら、テレビでエンツォフェラーリのデザインは電光石火の15分で作られたというエピソードが流れた。デザイナーはプレゼンで秒殺ボツをくらった直後の15分ロスタイム、一から書き直して奇跡の逆転を成し遂げる。締めくくりは、そこまでに積み重ねてきた1万枚のデザイン画が起こした奇跡、だった。天才的な華麗さと人間的な泥臭さが一つながりに描かれていて、府に落ちてくるものがある。きらりと光るものは、そうじゃない沢山の何かに支えられてるから光るというか。なんか、こうでなくちゃ、と考えてる自分は浅〜くてナイ〜ブなのかもしれないけれど。
ちなみにこんなエントリに限って根本的な作り直しが波のように押し寄せて引くくらい時間かかってしまうのよね。
追記、換骨奪胎って思ってた意味と全然違った。根本的な作り直しということが言いたかった。